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進まないDXはここからはじめる。
計器点検のデジタイゼーションとは?
~続・「目視&手書き」のメーター点検を今すぐやめるべき理由 2(全3回)

2023.9.29

ビルや住宅から、工場建屋、設備メンテナンスの現場まで、電気やガス、水といったエネルギー使用量を測るためのメーターや、工場内の製造工程の管理に使われるメーターなど、至るところにある数多くの計測器。それらの確認工程には、目視で数値を確認し、紙の台帳に手書きで記録して保管。もしくは、手書きの数値をエクセルで入力してデータ化する……といった人が行う作業で管理されるのがまだまだ一般的です。
大切なデータだからこそ、人がしっかりと管理を行っているという側面もあるものの、人手不足が深刻さを増す昨今、業務改善が必要なタスクだと感じることも多いのではないでしょうか。ここでは、計器点検のデジタイゼーションの必要性について、具体的に見ていきます。

紙の台帳をデジタル化するメリット

みなさんの現場では、設備メンテナンスのメーター値の点検記録を紙だけで保管している場合もあると思います。点検時は、人が巡回してしっかりと確認しているので、何かあれば確認をしながら対処できるので問題はないでしょう。しかし、設備をメンテナンスしていく際に、過去のデータを確認したい時などには、紙台帳のページをめくり、すべて目視確認をしていくという途方もない作業に見舞われてしまいます。当たり前のことかもしれませんが、数値がしっかりとデータ化されていれば、パソコン上で検索することも、大量のデータを分析することも容易になります。

目視で数字を突き合わせるのは、途方もない時間がかかる

何かが起こったときには、数年前に遡りデータを見直すこともあるでしょう。原本が紙台帳がであれば、目視で突き合わせて確認する必要が出てくるかもしれない。

デジタル化で変わるメーター検針の業務フロー

ここで例として、毎月のメーター検針を行うビルメンテナンスの現場の業務フローを例にデジタル化することで改善される時間効率化について確認します。
まず、検針作業者は、紙台帳やペン、カメラや計算機などを持ってメーター検針を行う建物に向かいます。メーターを目視で確認し、その値を手書きで紙台帳にメモ、念のために写真も撮影します。すべての検針が終了したら、それらを持ってオフィスに移動して、ご自身またはデータを入力する担当者が引継ぎ、パソコンを使って転記入力を行います。その後、それぞれ必要なフォーマットに出力をし、その後の請求処理などの工程に進んでいきます。

業務フロー

このフローからわかるのは、紙の台帳という「モノ」を使っていると、点検作業が終わっても、台帳が戻ってくるまでデータ化を行うことはできません。数値の入力後に行う、帳票の作成や請求処理などは、仮に検針作業が終わっていても、その到着を待たねばなりません。全行程が完了するには時には交通事情にさえ、時間を左右されることになります。

また、数字の文字というのは、「0」と「6」など、書き方の癖によって、筆致が大きく変わるものでもあり、点検時だけでなく入力時にも、読み間違えるリスクがあります。つまり、メーター値を見て手書きをする際にも、後工程で入力作業を行う際にも間違える可能性があるのです。担当者が複数いるとなれば、その見間違えリスクはさらに高まるといえるでしょう。

単純なことかもしれませんが、そうした細かなリスクを回避していくことや、データが正確に記録されていくことは、人の作業時間や待ち時間、ミスが起こった際のプレッシャーを取り除くことができ、働く環境の改善にもつながっていきます。

DXのはじめの一歩。メーター値の記録をデジタル化して、紙管理から脱却する

メーター点検の業務から紙を失くし、ペーパーレス化することにメリットがあることはお分かりいただけたと思いますが、具体的にはどのような方法があるのでしょうか。大きく分けると、つぎの4つの方法があげられます。

ペーパーレス化4つの方法

もっともよく知られている方法としては、センサーなどでメーターから直接読み取り値を収集することのできるスマートメーターに置き換えるという方法です。メーターの設置箇所まで赴き、目視で確認する必要もなくなるため、デジタル管理だけでなく省人化も同時に実現する方法です。初期投資として、メーターそのものを買い替える必要がでてくること、付け替えの際にメーターを一時停止する、通信や電源(電池)が必要になること、など物理的な条件がクリアできれば、もっとも効率化できる方法といえるでしょう。

つぎに普及しているものとしては、検針の作業時に紙ではなく、タブレット上で動作する現場管理のアプリがあります。メーターを人の目で確認し、タブレット上で入力するため、紙に書かれた手書きの文字を、その後パソコンで入力しなおす作業がなくなります。また画面も比較的大きく、使い慣れた紙帳票に近い形で表示されることも、導入のしやすさのポイントです。計測器の読み値だけでなく、現場にはチェックが必要な点検項目もたくさんあるものです。写真を撮りたい場合も、タブレットであれば1台で作業が完結し、サーバー上にデータを保存できれば、リアルタイムに遠隔地からデータを確認することも可能になります。物理的に人の巡回が必要な場所もあるため、さまざまな業界の現場で導入されています。

3つ目には、タブレットでの点検同様、従来のメーターを変えることなく、カメラで撮った画像からメーター値を読み取り、デジタル保存するシステムを使う方法があります。専用のネットワークカメラをメーターの前に設置することで、スマートメーターと同じように常時監視を実現することも可能です。初期投資として、カメラの購入費用と設置場所が必要になりますが、メーターそのものを変えることなく省人化とデジタル管理を実現できるため、有効な方法といえます。

最後に、従来のメーターを取り替えることなく、かつ初期費用をかけずに、デジタイゼーションする方法に、スマートフォンの専用アプリの利用という選択肢があります。この方法の利点は、メーターの交換が不要なことはもちろん、現状の巡回点検の業務フローを大きく変えることなく、人の手間とミスを減らしながら検針業務の改善を行えることです。
スマホアプリでは、撮影したメーター画像から検針値を読み取り、画面上にデジタルデータ化した数値を表示するため、検針担当者がその段階でメーターと画面を見て、数値が合っているかチェックすることができるため、間違いが格段に減る仕組みになっています。当然ながら、パソコンを使った検針値の入力作業も不要になるため、その段階でのミスも防止します。また、撮影したメーターの画像も同時に保存されるため、点検エビデンスも一連の動作のなかで残っていきます。

検針から記録の3ステップ

DXを推進する足掛かりとなるデジタイゼーションは、現場に導入しやすい方法を選択することが重要です。状況に合わせて段階的に方法を変えていくことを検討してもいいでしょう。しっかりとテストを行い、利用する現場で納得感を持って広げていくことが非常に大切なステップとなります。

検討から導入・運用まで、
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