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ヒューマンエラーとは何者か。その正体を紐解く
〜「目視&手書き」のメーター点検を今すぐやめるべき11の理由 1(全3回)〜

2021.9.28

どんなに注意を重ねても起こってしまうヒューマンエラー。誰にでも一度は経験のあることだと思います。メーター点検やメーター検針の現場でも、点検作業時のメーターの誤認や、記載・転記時の書き間違いなど、意図しないミスがなかなかゼロにはならない現実があります。ここでは、ヒューマンエラーの起きる理由について紐解き、仕事の仕組みを変えてミスを起こさない方法について考えていきます。

そもそも、ヒューマンエラーとは何でしょう?

まず、ヒューマンエラーとは一般に、人間と機械やシステムの間にある、人間側のエラーに注目したもののことをいいます。決められたこと、すべきことが決まっているときに、それらをしない場合や、すべきでないことをした際に発生します。逆にいえば、決められたことをきちんと行えばヒューマンエラーは発生しないはずですが、人はなぜ、意図せずミスやエラーを発生させてしまうのでしょうか。高木元也氏(独立行政法人労働安全衛生総合研究所)の著書*によると、ヒューマンエラーには12種類のパターンがあるといいます。

  • 危険軽視・慣れ
  • 不注意
  • 無知・未経験・不慣れ
  • 近道・省略行動
  • 高齢者の心身機能低下
  • 錯覚
  • 場面行動本能
  • パニック
  • 連絡不足
  • 疲労
  • 単調作業による意識低下
  • 集団欠陥

*『安全活動にカツを入れる本―建設現場をもっと“元気”にする方法』(2007/8)

ひと言で「ヒューマンエラー」といっても、その種類によって、起こる原因も起こりやすい場面も変わってきます。パターンごとの特徴をおさえて、それぞれの現場で起こりやすいヒューマンエラーを理解しましょう。

セルフチェックシートで再認識!12のポイント

01.「危険軽視・慣れ」
新人が業務に慣れてきたころにも、熟練したベテランにも起こりうるエラーです。人は慣れによって、気を付けていたようなことでも、だんだんと気を抜いてしまいやすい傾向があるため、注意しなければなりません。
02.「不注意」
最も一般的なエラー例かもしれません。注意をしなかったということですが、それが業務であっても、何かに集中しているゆえに起こる可能性もあります。このエラーが発生したときには、原因をつきとめて、周囲と共有して注意喚起することが大切です。誰にでも起こりうるタイプのエラーだからです。
03.「無知・未経験・不慣れ」
新人に起こりやすいエラーです。理解が不十分な状態で業務を行っている場合、業務を習熟していく過程でエラーが起きるため、気を付けるだけではなく、その要因となっている知識不足などを補填したり、何度も繰り返して体得していくことが必要になります。
04.「近道・省略行動」
決められている手順を守らずに行ったがゆえに発生します。近道や省略を行ってしまう理由のなかには、時間がない、生産性に対して圧力がかかっている、などの組織的な要因が、現場の空気感となって引き起こす場合があります。
05.「高齢者の心身機能低下」
人間の身体機能は、一般的に加齢とともに低下していきます。視力などの分かりやすい機能だけでなく、記憶力や認識力なども同時に低下していきます。
06.「錯覚」
ある条件下において感覚器に異常はないのに、その対象を通常とは異なったものと知覚してしまうことをいいますが、転じて、思い違いや聞き間違い、勘違いによる誤認のことを指します。思い込みによっても引き起こしやすいエラーといえます。
07.「場面行動本能」
瞬間的に注意が一点に集中することで、周りを見ずに行動してしまう、または周囲への注意が鈍感になったまま行動してしまう、人間が生まれつき持っている本能です。事故につながる要素になりやすく注意が必要です。
08.「パニック」
自分が想定していなかった事態に直面し、慌ててしまうことにより引き起こします。通常間違えることのない簡単なことでも、パニック状態では判断が狂ってしまうことがあります。さまざまな事態に対応できるようシミュレーションをして、想定しておくことが大切です。
09.「連絡不足」
いわゆるコミュニケーションエラーです。複数人の人が関わる業務において発生することが多く、個人同士の意思疎通の問題もさることながら、組織での連絡フローそのものがエラーを引き起こしている場合もあるため、全体でエラー防止の観点を持つことが重要です。
10.「疲労」
人間の能力・機能を低下させる要因です。疲労の慢性化などが起こっていると、本人でさえ、疲れていることに気がつかない場合があります。勤務体制や業務フローを整えて、過度な残業を強いることのない環境を目指すのはもちろん、個人でも休憩を取りながら心身の管理を行う意識を持つことが必要です。
11.「単調作業による意識低下」
何度も繰り返し単調な作業を行い続けることによる、集中力の欠如や意識の低下により起こるエラーです。
12.「集団欠陥」
現場の雰囲気で、本来取るべき行動がおろそかになっている、悪習慣によるエラーです。生産性や効率に対するプレッシャーなどが要因となっている場合も多く、個人よりも組織で防止する意識の必要なエラーになります。

いかがでしたでしょうか?このように、ヒューマンエラーにはさまざまな種類があり、起こりうる原因・環境が異なることがわかりました。ここで注意したいのは、まず前提として、ヒューマンエラーとは「原因ではなく結果」であり、故意に決められたことを行わずにエラーを起こすことではなく、意図せずになんらかのエラーを起こしてしまっているのがヒューマンエラーです。人間は「間違える」生き物です。なんだ、そんなことかと思われるかもしれませんが、これを認識することは、ヒューマンエラーを撲滅するうえで、非常に大切な考え方になります。


  • 間違いの要因となる手順をなくす・改善する
  • 作業時間の見直し、疲労度の見直しを行う
  • エラー発生の可能性を、物理的に低くする

ヒューマンエラーの発生原因から見えてきた、上記3つの改善ポイントをもとに、メーター点検現場における「ヒューマンエラー」の解消について、具体的にみていきます。

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