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進まないDXはここからはじめる。
高齢化時代のデジタイゼーション──これからのために(1)
~続・目視&手書きのメーター点検を今すぐやめるべき理由3(全4回)

2026.3.2(更新)

少子高齢化時代と呼ばれ、人口は下り坂の一途をたどっている日本では、年々高齢者の比率は増え、厚生労働省の統計調査によれば2040年には65歳以上の人口が、じつに全人口の約35%となると推計されています。
とはいえ、人生100年時代ともいわれる現代。昔より健康寿命も延びているのもまた事実です。働く年月も伸びていく社会において、人がより豊かな気持ちで仕事が続けられる仕組みをつくることは、いま取り組むべき優先課題であるといえるでしょう。今回は、この観点からデジタイゼーションの必要性について考えていきます。

超高齢化社会のリアルとは?

さて、日本で「超高齢化時代」という言葉が使われるようになったのは、1995年に発生した阪神淡路大震災をきっかけに、高齢者の社会的課題や高齢化していく社会が注目を浴びるようになってからです。その後、高齢化は一層進行し、日本の社会構造や経済に与える影響が深刻化したことから「超高齢化時代」という表現が一般に使われるようになりました。出生率の低下も相まって、この傾向は年々進み、総務省による2023年の調査では、65歳以上の人口は全体の29.1%で過去最高を記録しました。これはつまり日本の人口の約1/4が高齢者であるということを示します。

高齢者の高齢化も進んでおり、現代日本は人口の1/4が高齢者、10人に1人が80代となっている

しかし、多くの人の持つ印象として60代が「高齢者」かといわれると、違和感を持つ方も多いのではないでしょうか。それもそのはず、同じ2019年の調査によれば、日本は主要先進国のなかで平均寿命・健康寿命ともに最長で、平均寿命が男性で82歳、女性は87歳。健康寿命は男性73歳、女性76歳ということでした。このような状況のなか「労働力人口」の高齢就業者数は増加しており、その就業率は2020年には25.1%となっています。

このように、人が長く働くことのできる時代になっているなかで一つ見逃せないデータがあります。ビルのメンテナンス業務といった、人が携わる業務比率の高い業界での労働災害状況についてです。その死傷災害発生の原因をみてみると、転倒、転落・墜落が、64.2%もの数字となっています。また、その年齢の50%以上が、50代以上になっているという点にも注目してください。ちなみに高齢就業率の高い産業の一つである製造業でも、転倒、転落・墜落の労災事故は40代以下では30%未満であるのに対し、65歳以上では60%を超えています。

人が携わる業務比率が高いビルメンテナンス業務での労働災害の死傷災害発生状況の原因は、転倒、転落・墜落が、64.2%を占める

ところで、統計上は65歳といわれる高齢者の定義ですが、身体の衰えに関しては30代から徐々に始まっています。まずは、筋肉量や骨密度が減少し始め代謝が低下していく傾向があり、40代に入ると肌のハリや弾力が失われたり、視力や聴力が衰えたりすることが一般的です。さらに50代以降になると、関節の柔軟性が低下し、身体の酸化が進み、60代以降はさまざまな身体機能の低下が顕著となり、筋力やバランス感覚の衰え、認知機能の低下、生理機能の変化などが見られることが多くなるといいます。視力の低下など補助できるものから、記憶力や認識力のように徐々に衰退していくものまで、個人差はあるものの、老化現象は私たちの誰もが避けては通れない道にあるのです。

30代「やばい!体脂肪率が上がった!?」 40代「ん?視力が落ちてきたような...」 50代「最近よくつまづくなぁ...」 60代「あれ?何だったっけ?」
誰にでもやってくる老化現象。すべての人が安心して仕事をつづけるにはどのような対策が必要だと思われるでしょうか

身体感覚とヒューマンエラーの密なる関係

ここまで見てきた通り身体機能が年齢とともに低下することは自然の摂理ともいえますが、身体感覚の衰えは、実は認識力の低下にもつながっていくものです。たとえば、私たちは情報の約8割を目から取得しているといわれています。加齢とともに視力が低下することは、日常生活においても何かを見間違えたり、誤認をしたりといったさまざまな問題が生じますが、「見えにくい」という状態は、身体を保つバランス感覚が悪くなって転びやすくなったり、睡眠障害を引き起こすこともあるといいます。

しかしそれでは、若い人の多い職場ではミスや事故は起こらないのかと言われればそうではありません。身体の衰えや加齢だけがその原因ではないからです。人間は「間違える生き物」だといわれますが、それはヒトの認知機能には錯覚という特性があったり、感情の揺れや既知の情報からの思い込みなどが影響する行動スタイルをもっているなどの性質があるからです。私たちがトリックアートなどを楽しめるのは、錯覚の機能を持っているからでもあります。ですから、一概に加齢をヒューマンエラーの要因にはできませんが、やはり誰もが年齢を重ねれば、身体機能や認知機能が低下することを前提に、自分自身をチェックしていくことも大切です。

そういえば当てはまる!? 老化のサインをチェック

  • 5年前に比べて、目が疲れると思うようになった
  • 5年前と比べて、つまづく回数が増えた
  • 5年前と比べて、作業時の姿勢がつらいと感じる
  • 5年前と比べて、眠りが浅くなってきた
  • 5年前と比べて、動作の開始時に膝や腰が痛む

振り返ってみると、案外気づかなかった変化を感じることはないでしょうか。気になることがあれば、まずは道具や環境を整えることから意識を向けてケアを始めてみてください。

再発防止ではなく、未然防止。
事故やエラーを回避するにはこう考える!

どんな職場においても、事故やエラーの発生は少なからずあるものです。リカバリー可能なちょっとした間違いから、大事故につながるようなミスまで、その程度の差こそあれ、私たちの日常には、事故のリスクが潜んでいるといえます。そして、それを回避する対策法として2つの考え方があります。一つは、同じミスを二度と起こさないよう、原因を突き止めて対策する「再発防止」。もう一つは、そもそも将来起こるかもしれないミスや問題を起こさないようにする「未然防止」です。どちらも必要なことではありますが、これからの時代において「未然防止」に取り組むことは、重要だと考えられます。ちなみに、未然防止は「予防」といったその効果のほどは不明確ではあるが対策としてしておく、ということではなく、科学的な根拠を前提に想定されるリスクに対して策を講じることが原則とされています。明らかにミスが起こる根拠となる事象を取り除くことは、事故の防止はもちろん、作業の品質そのものを向上できる可能性 があります。

たとえば、転倒が多く発生している現場の事故原因は、作業者の不注意や足場の悪さではなく、視力の低下や視界が悪いことに起因しているかもしれません。その場合は、視力検査の実施や照明などでの環境改善を行うことで発生原因を除去できます。また、事故は起きていないが同じような環境になっている場所がないかを確認し対策を施すことで未然防止につながります。

再発防止

  • 状況確認
  • 原因理解
  • 防止策の検討

未然防止

  • 原因の根拠を検証
  • 類似ケースの調査
  • 原因を取り除き検証

事故やエラーの発生時には、記憶が薄れたり被害が広がったりする前に、まずはすばやく再発防止策をとり、その後に未然防止策を考え、改善していくことが重要です

検討から導入・運用まで、
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